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根本的に「萌え」の定義は曖昧であり、多分に主観により対象物が異なることから一概に言うことはできないが、基本的には二次元におけるロリコンショタコンの対象物一般である。
基準に沿って考えて果たして各社が保有するコンテンツがそれに合致しているか、という点を検証してみればお分かりいただけるだろう。
つまり先にあげた企業群は萌え関連のコンテンツをも持っているかもしれないが、ほとんどの企業はそれを中核としていない。ラグナロク・オンラインでほとんど全ての収益を上げているガンホー・オンラインぐらいしか真の萌え関連企業は無いというのはそのためである。

例えば、バンダイ関連会社はガンダムを機軸に経営されていることは間違い無いが、この中で萌え関連といえるのはガンダムSEED及びガンダムSEED Destinyである。男女双方の消費者の萌えを狙った作品という節操の無さだが実際に成功しているのを見ると狙いが間違っているわけでは無いと理解できる。が、バンダイは「バンダイのプラモデル」とCMをうっているように基本的にはガンプラなどのおもちゃを長期間に渡って販売することを主眼にした企業である。バンダイビジュアルにしても移り変わりの激しい(販売機会の限られる)萌えを主眼にしたアニメ作りに特化しているわけで無く旧作のDVD化による収益を安定収益として長期販売可能な新規アニメの製作への出資・版権の獲得という戦略をとっている。

  1. ではなぜ「萌え関連銘柄」と認識され、株価が急騰したのであろうか?

まず、IPO後も流動性の低さと収益性の高さを武器にガンホーオンラインが急騰したことが嚆矢であったことは疑い無い。次に上昇し始めたのは同様にゲーム関連のネット企業である。コーエーネットバンダイネットワークがこれにあたる。最後にその周辺企業が上昇した。まんだらけ創通エージェンシーブロッコリーがこれである。つまり萌え関連銘柄として周辺企業の物色が行われたのがこの頃である。ちなみにまんだらけは昨年も同じ時期に同じ理由で急騰し、その後急落した経緯がある。急落するのは何故かというと、萌え関連事業は先行投資は一社辺り数億円規模にとどまる為、償却が進むことによる収益の刈り取り時期も無ければ、HITにより売上が急激に増加することもまた少ないのである。一回HITして収益が上がったとしてもそれを維持することは困難であり、それ以上の収益を得ることはさらに困難である。よって収益性は急激に上昇することは無い。

ガンホーオンラインもこの例外で無く、ラグナロクオンラインの顧客囲い込み成功→課金→莫大な利益という構図を描いても所詮はようやく累損を一掃した程度であり、あと2年ぐらい現状のROで収益をあげることが出来てもそこまでである。次回作がHITしないならば会社を解散した方が投資としては正しい結論になるだろう。

  1. 急落・下げ止まりの時期はいつと見るか?

今回既に株価の調整は始まっているが、私は目安をブロッコリーにおいている。なぜかといえば先に挙げた30社の中で唯一3年連続利益を出さないままで今後の収益回復だけをネタに上昇したからである。しかも今年度(2006年2月期)は収支トントンという再建計画であるにもかかわらず。何度か上昇した後に500円を下値に何度か上値を試す展開になっているが、急騰したもう一つの理由がマーケットメイク銘柄であり(ストップ高・ストップ安が無い)かつ流動性が低いことなので、ある時点で買い方不在になると急落する。それがいつなのかといわれると難しいが、ブロッコリーの高値理由がガンホーオンラインに連れ高である以上ガンホーの急落をみるまでは下がらない可能性もある。
そして底値の判断指標にはバンダイビジュアルを使用している。バンダイビジュアルは収益の安定成長にかけては安心感があり、さらにPERの倍率も今回の急騰が終わった後でも20倍台と成長株にしては低い倍率を維持している。バンダイビジュアルの株価が再び25万円を割り込む事態になれば下落局面も終了となろう。ちなみに現在価格は35万円を上回っている。

  1. では萌え関連銘柄からはずされるおた関連銘柄とはどんなものであったのか?

この中に挙げられなかったセガサミーが好例ではないだろうか。セガサミーパチスロのサミーが安定して大きな収益を上げる一方で、セガは発売ゲームタイトルの売上の大小・アミューズメント施設の収益の大小で収益のブレが大きい。ちなみにセガではサクラ大戦シリーズと三国志大戦の一部が萌え関連といえる。しかし萌え関連銘柄と認識されなかった。これは企業の収益構造と萌え関連のタイトルが全く関係無かったのが原因で無く、セガサミーの看板が既にパチスロでゲーム企業として認識されなくなっていることに原因が有る。事業統合を発表したバンダイナムコと正反対に異業種からの買収を受けてしまったセガはどうもゲーム関連企業としてのアイデンティティを失っているとみなされるようである。

  1. 萌え関連銘柄に未来は有るのか?

細々と続くだろう。何故か?作品世界に柔軟性が無い為に長くとも数年で1作品が消費し尽くされるためである。キャラクター人気が全てで有る為作品世界と共に陳腐化する。従来のキャラクター商品であるキティちゃんやバービーとの違いはここにある。例えば10年前を想像してみれば良い。当時はようやくときメモが発売された頃である。当時はインターネットも広まっていなかった為、ゆっくりと人気は広がり1996年の終わり頃には全盛期を迎えた。この人気が沈静化したのは1998年であり、消滅したのは1999年である。つまり5年で消費し尽くされた。1998年には沈静化していたというのは1998年当時大量のギャルゲーが発売され駆逐された為であり、それから1年でキャラクター商売として成り立たなくなった。このように次から次へとキャラクターが移り変わる世界で毎回多額の投資を続けるのはなかなかに難しい。しかも安定収益をあげている企業は、例外なく萌えでなくそれ以外の収益基盤を持っているのである。