衆議院選挙結果

遂に政権交代が実現した。
これで鳩山首相が誕生する。
これで小泉純一郎以来、安部→福田→麻生→鳩山と5人連続で世襲議員が首相となったが、うしろ4人が全て総理経験者の息子ないし孫というはなかなか世界的にも例がない事態である。
昨日は選挙速報を夜中2時まで見続けたが、選挙戦略でいくつか疑問点が残った。

1.国民新党
今回綿貫さんと亀井久興さんが落選した。亀井さんは竹下元首相の弟、竹下亘との戦いで敗れ、比例代表でも中国地方で国民新党議席を取れなかった以上落選も仕方ない。
綿貫さんは違う。北陸の比例代表単独で立候補して落選したのである。新党は4年もたてばブームが去り地盤固めが重要となる。しかし国民新党は全国でならば郵政民営化反対だけでも議席がとれるが北陸だけでは困難だ。国民新党議席倍増を目指していたから小選挙区を無所属の推薦候補にとどめて比例で純増をはかったのかもしれないが虻蜂取らずの結果となった。小選挙区で民主の支援も受けて戦えば勝てたはずだ。負けたら引退覚悟だったのだろうが、それにしてはかつて社民党で「おたかさん」土井たか子が最後の選挙のとき比例代表の名簿順位をわざと下げて自分の当選ラインを下げる事で社民票の上積みをはかり、敗れて引退したときに比べると国民新党議席の最大化には繋がっていない戦略に見える。
よくわからない。

この後参議院過半数を持たない民主党と連立協議を行うが衆議院の代議士3人の政党ではかつての保守党より影が薄い。面目を保てるのであろうか?

2.公明党
公明党は石橋を叩いて渡る堅い選挙活動が定番である。しかし今回は自民党に逆風というか突風の向かい風が吹いており公明党基礎票しか望めない上に投票率が上がり組織票の割合が減少してしまった。
こういう悪い事態をある程度は想定していただろうに、公明党小選挙区は全勝することが至上命題として、とうとう党首も幹事長もいつもどおり比例代表での重複立候補はしないままとしてしまった。結果は代表・幹事長ともに落選。最悪の結果である。10議席減で過去最低の議席数という数字よりはるかに大打撃である。
自公連立政権も崩壊し単なる野党として公明党がどう生きていくかは不明である。

3.自民党
自民党は選挙期間の終盤に大物議員の足元を固める戦略が功を奏し、結党以来の最低議席・第一党からの転落となったが4年前の民主党並みの議席確保には成功したので現状把握ができれば政党として存続可能な状態にはなった。
しかし内容が悪すぎる。
派閥ごとにみると全体として1/3になっているのだから1/3になるぐらいは仕方ないのだが、二階派のように衆議院で本人のみになってしまうような大敗ぶりでは従来の派閥は運営できると思えない。しかも小選挙区で派閥の価値が低下しており、政策集団としても派閥の機能が低下している現在、弱小派閥が消滅していく現象が今後でてくるものと推測される。
清和会(町村派)の分裂や大宏池会への合同(総理候補を失った麻生派古賀派への合同)、旧経世会である平成研究会(旧津島派)の小派閥化、旧山崎派は会長自らの落選での失墜などがおこるのか。高村派議席を減らしている。
森首相以来の清和会優位な体制はようやく崩壊した。しかし自民党は与党であることで集票マシーンと化していたことを考えれば野党転落・第二党への転落は党組織にとっては致命的な打撃で、一からの出直しを果たさねば党組織が崩壊する非常事態となるだろう。
自民党総裁となりうる人物は?といえば今までの人物なら与謝野財務相・額賀元防衛相・石破農水相・舛添厚労相・谷垣元財務相・石原元国交相ぐらいのものだ。
町村や中川(秀)では自民党内を納得させられても世論から遊離してしまう。彼らは既に過去の人だ。
が、麻垣康三の最後の一人である谷垣元財務相は火中の栗を拾うことに躊躇しているようであるし、石破ではまだ軽量すぎるし額賀では派閥領袖までで総裁の器には見えない。
舛添も火中の栗を拾うよりは一旦様子を見てから選挙時の総裁になろうとしているように思える。石原は親父が都知事の間は総裁にはなれないだろう。
消去法で考えるなら与謝野がもっとも実務肌でよさそうに見えるが、健康状態がそれを許さないだろう。
民主党が4年前敗北したときには若返りを主張して前原代表が誕生した。メール問題で引責辞任したが、出直しと言う意味では象徴的であった。
そういう意味では河野太郎石原伸晃あたりが丁度よいのかもしれない。どうせ衆議院選挙はすぐには発生しない。与党が解散を避けるのはこの前までの自民党と同様である。
次の参議院選挙で民主党の失政をついて自民党過半数に近づく為には誰が党再建を行うのがよいか。早急に考えて欲しい。
個人的には河野太郎一押し。ただし親父と同じく「首相になれなかった総裁」になるだろうけど。

4.民主党
近畿で比例代表の取りこぼしが二人もでたのはもったいなかった。が、ここまで公明党に勝てると思っていなかったのは当然のことなので民主党を責められない。
むしろ変な奴を無理矢理比例単独候補にいれて当選していたところで、議員たるにふさわしくない人間だと足を引っ張りかねず、人手不足の民主党に求めてはいけない事なのだろう。
小選挙区ではかなり社民党国民新党に譲っていたが旧社会党の組織の残存している社民党はともかく、郵政団体しか支持母体のない国民新党ではいかにも小選挙区で勝つには不足であった。民主党の応援が足りていないのではないかとも思える。
ただ民主党の戦略からすれば国民新党には立ち枯れてしまっている方が将来的には好都合だと打算的に動いているのかもしれないが。

5.共産党
予想通りの健闘振りであった。しかし現行の小選挙区比例代表並立制の元ではもはやこれ以上の議席が望めない。
早めに中選挙区への復帰運動を開始した方がよいのではないだろうか。