蒼穹の

昨日・本日と妹夫婦が実家に遊びに来ていたわけだが、その間のんびり蒼穹の昴をみる。
中体西用を掲げているが、それこそが間違いであることに気づかないところが致命的なわけだ。
そもそも君主親裁という帝国のシステムは、親裁する案件を部下が選ぶ訳にもいかない(君主の決裁権を犯すことになる)ことから国政における些事でも決裁を仰ぐこととなり非常に非効率である。
それに中華思想中華帝国のシステムも既に陳腐化していたこの頃、産業振興・教育・技術導入など富国強兵に必要なことはいくらでもあったが、もっとも必要なのは「国民の生活向上への渇望」であったはずだ。
スローガンも太平天国の乱では復古的な「滅満興漢」、義和団事件のときには現状復帰の「扶清滅洋」、辛亥革命でようやく「駆除韃虜、恢復中華、建立民国、平均地権」と漢民族復権以外に民主化、土地の分配が掲げられた。凡そ上から新技術が与えられようと、それを元に産業を興し収益を上げ生活を革新させていくという思想をもつものが多数発生しないと、国家が作った工場がいくつかできて終わりであり、軍隊の軍装のみ近代化しても武器弾薬の補給もできない状態になるのが関の山である。
変法派は日本で30年かけて文明開化、富国強兵を行ったのを中国では3年で行えると豪語していたのも誤りで、小さい日本だったからこそ改革スピードが早かったのであり、中国のように人口・面積ともに巨大な国家では改革そのものを浸透させるのは非常に困難である。1/10でなく数倍の時間がかかるのが本当のところだったのだろう。実際100年を経て中国も高度成長の時代を迎えている。

まぁこのドラマの原作小説は歴史的事実として最後に破滅が待っていることがわかっているから、破滅に至る過程がもっとも面白かったわけで、ドラマもこれから佳境に入る。楽しみだ。