印刷終了&風立ちぬ

なんとか編集が終わったので今朝印刷した。
印刷しゅーりょー おつかれさまー (CV:那珂ちゃん)

10:45に家に帰ってシャワー浴びてから今度は池袋へ。
11:30到着 風立ちぬを見るのです。

結果。結構おもしろかったですよ。意外意外。
庵野秀明の声優初挑戦は演技のかけらもない朴訥とした声が御希望ならそれでよいのではという感じであったし。
作った零戦が「一機も帰ってきませんでした」はいいのだけど、
九六式艦戦の試作機(九試単座戦闘機試作一号機)の成功をメインに持ってきて、後をエピローグにしたらなんかおかしくないか?それ?と
思いますけどね。
逆ガル翼を鯖の骨といってみたり、飛行機の姿をして「美しい」といってみたり機械屋はこんな感じだよなと思わせる描写が飛行機好きの
宮崎駿っぽくてよいのではないかと。特に羽根がたわんだり震えたりする表現がね。
沈頭鋲の導入も技術的に実際にあった話だし細かいところの描写が丁寧なのが特に好感が持てます。

細かいところ言っていいですか?
1923年の関東大震災のときに大学生で1927年の金融恐慌で取り付け騒ぎをやっているさなかに就職していた。
一高時代ならともかく本郷にいたんだから留年しているようにみえる。(学士だったし)
数年後に試作戦闘機で失敗して軽井沢で療養中に関東大震災で出会った女の子と再会して…十年経っているよね?
満州事変・国際連盟脱退もしたことがドイツ人のカストルプから伝えられるが、彼はヒトラー率いるナチスを一言「乱暴者」
と言っていることから既に1933年4月以降になっていると思われる。(日本は1933年2月に国際連盟での満州からの撤退勧告に対して退場、
3月に脱退している。またドイツでは1933年2月に国会議事堂放火事件が発生し、それを端緒に3月に共産党社会民主党を弾圧している。)
一方で次郎が静養していたときの季節は夏。1933年7-8月ぐらいか?
物語の最後が九六式艦上戦闘機のプロトタイプの九試単座戦闘機の初飛行は1935年1月であること。
再会してから冬を2回は迎えている。ギリギリ時系列はあっているような気はする。
カプローニさんの「設計者の創造的時間は10年だ」の言葉からすると彼の設計者の創造的時間は1930年頃に始まり1940年頃、つまり
零戦の開発とともに終了したことになる。
エピローグに夥しい壊れた零戦を描き、「美しいな。良い仕事だ」「一機も戻って来ませんでした」はいい台詞だった。

一方で内容は盛り込みすぎ。夜遅くまであいているパン屋さんでシベリアを買って、親が帰ってくるのを待つ子供に与えようとして
「それは偽善だ」などという描写は実際不要だろう。この当時の日本が貧しかったことを示すことが特に必要ではないし。

ドイツ出張でもユンカース社でろくに飛行機をみせてもらえない様子を描写するのはいいけど、夜になると治安が悪化している様子、公安が
出没するような暗いイメージをなげかける。この当時のドイツならそもそも大恐慌まっただなかで失業者だらけでそれどころじゃないだろう。

良い作品だからこそ、描写の絞り込みがある程度必要なのだと思う。背景描写を細かくすることで時代背景は十分みてとれると思うのだが。

あと煙草を実にうまそうに吸う。宮崎駿のように。映画でこれは昨今珍しいことのように感じた。