ジェイコム誤発注の功罪

ジェイコム誤発注を引き起こしたのは確かに発注したみずほ証券の責任。
そしてそれを拡大したのは注文取消をシステムのエラーから不可能にしていた東証の責任。
これが事件化したのはそれでもジェイコムを売買停止にしなかった東証の責任である。


ストップ安水準での売買を成立させなければ事件にそもそもならなかったのだから、みずほ証券から連絡を受けた際の東証の動きが鈍いとしか言いようがないのである。


しかも根が深いことに東証はシステム保守関連を分社し、その株式をかつてのプライムシステム(現在サンライズT)に売却することで自己資本を充実し上場ができるような状態に持っていこうとしていた。しかしプライムシステムは経営悪化から株式を他社に売却し、その間にシステム子会社は、親会社より株式を高く売るためにコスト削減を進めて経営状態をよくみせようとしたことから、人材流出は進んでいった。
システムの劣化というより東証自身のシステムへの理解度がシステムから疎遠になるほど悪化するのは当然の結果で、ために11月のようにデータ移行に伴う初歩的なミスが顕在化しても、対症療法のみで次の防止策においては手が回っていなかったといわざるを得ない。
システム開発富士通だからといって富士通を一概に責められない原因である。
しかしシステムの供給者として東証が負担することになった金額の一部は最終的に富士通が受けざるを得なくなるのは確かである。11月のように富士通は免罪されない。


ただこの誤発注がなくとも東証では今まで株式分割を伴うトラブルなどは頻発しており、それがテクニカルに相場を混乱させたことは何度もある。
東証がネット個人投資家や各証券会社と比べて情報処理能力ならびに情報感知能力が劣っているのが根源にあるので結局はそれを回復するまではこの問題は何度も起こるだろう。


違いは規模だけである。さすがにジェイコム以上の規模では再度誤発注事件は起こらない。
それが今回の功績である。