in大阪

実家にいたが家族でカラオケに行くことにした。
家族の評価…歌っている間は元気だ。
そうかも。
昼にお好み焼きを食べてから帰京。
実家での感想としてはそろそろ実家の部屋を片付けないとまずい。大学時代の同人誌の段ボール箱がまだ山積みである。


たまには本の話
中原の虹 1−2巻 読了
浅田次郎作 蒼穹の昴の続編。
実家で父に借りてきたのだが、浅田次郎の文章は平易で読みやすい。
実際話の内容自体は清末の西太后治世の末期の政変が大半なのだが、視点が西太后や光緒帝だけでなく貧民の出の宦官や馬賊、官僚、外国人ジャーナリストにまで広がっているのが面白い。
実際このストーリーは田中芳樹が書きそうな内容であるのだが彼の小説のように英雄然とした人物はもはやいない。
元々蒼穹の昴本編で記述されていたように、高宗乾隆帝中華帝国を民の元に戻す為の遠大な計画をたくらみ、天子の印たる金剛石を隠してしまったことが全ての事の発端なのだが、それでも中華帝国を支え続けようとする清朝最後の実力者である西太后の悲哀と維新断行に挫折した光緒帝の末路。そして新たなる時代を切り開く後の満州軍閥馬賊張作霖。心魅かれる
浅田次郎の視点は明らかに現代日本からの視点であり、蒼穹の昴でも西欧列強が租借地という名目で国土の一部を植民地化していく過程で99年というほぼ永遠を意味する租借期間を4,000年の歴史においては一瞬であり西欧列強の力で発展した土地がやがて返還されることを見込んで李鴻章が次々と屈辱的な不平等条約に調印していく。未来を知っていることを前提とした文章は逆らいがたい運命を感じさせ、特に老占い師は作者自身ともいえるだろう。今回も張作霖の部下の馬賊たちに運命を告げる。張景恵には満州国首相にまで出世して戦後収容所暮らしとなることを明言し、馬占山には馬賊の棟梁となることを明言する。だが読者はもう一つ、張作霖は日本の関東軍により暗殺されることと張学良が第二次国共合作の立役者となった後、蒋介石により幽閉され先年台湾で没したことも知っている。物語は馬賊側も最終的な悲劇が待っていることを暗示しつつ進められているのが面白い。
しかし浅田次郎は日本人が好む大衆小説をよく理解している。
判官贔屓の日本人は、悪女としての西太后よりも、運命に逆らいたった一人で王朝を存続させさらにその寿命が遂に尽きんとするとき王朝を閉じるとも西欧列強に国土を渡さない覚悟を固める逆境に立ち向かう西太后を好む。
泣けてくるその文章は帯を読むだけで涙を誘う。続きが楽しみである。