明日はゴンゾの株主総会

昨年はGDH(現:ゴンゾ)の株主総会に行ったわけだが、今年も明日に控えたゴンゾの株主総会へ行こうと思うので先に色々書いておく。(以下ゴンゾで統一して記載)

そもそも昨年ゴンゾは発行可能株式数を増やし、第三者割当増資で資金調達を行い経営建て直しを行う計画であった。
その際の柱は「アニメとオンラインゲーム」つまりGONZOとゴンゾロッソである。
GONZOはこれまでの自社販売のオサレアニメ路線から、下請け化・売れるアニメづくりへの集中が考えられたし、日銭という面ではゴンゾロッソは重要な会社だった。版権ビジネスは既に崩壊していた。
で、現実の厳しさは前門の虎後門の狼。
本業であるアニメではストライクウィッチーズがあたったものの、他は鳴かず飛ばず
「ゴンゾはパンツだけやってりゃいいんだよ!」とパンツじゃないから恥ずかしくないもん!なアニメのファンに揶揄されたものだ。案の定の結果なドルアーアの売れ行きなどを見て事業先行きは困難に見えた。オンラインゲームも切り替え時期に入り収益源として怪しくなってきた。

そして肝心のエクイティファイナンス。株価が暴落した後、ようやく増資計画が示されいわかぜキャピタルが初の投資案件としてゴンゾを選んだ!という珍事件が起こったが、経営陣を送り込んだのに複数回に及ぶ払い込みの一回目10億を払い込んだところで割当先のいわかぜキャピタルが増資をストップした。これはヤバイと誰でもわかる事件であった。
結局2008年度も3Q決算まで増資分を使い切る勢いであった。しかし…
2−3月にかけて怒涛の資産売却を実施。遂にゴンゾロッソを売却してオンラインゲーム事業から撤退、GDHキャピタルも売却、デジタルアニメ部門も売却と売却可能な資産はほとんど売却してしまった。しかもゴンゾロッソの売却価格は前に株式の一部を他社に売ったときと比べてかなり安く、窮状がしのばれた。
これが09年3月末の出来事。

09年度に入るとさらにゴンゾロッソ株を今までに売却したタカラやファンドに通告していなかったことから契約に基づき買い取り請求が行われる始末。
しかも資金そのものの枯渇が鮮明になる。既に金融機関への借り入れの返済見通しも立たなくなり、期限の利益(返済期日までは金を借りたままでいられる)を失いすぐさま返済することを求められ、延滞金も課せられている状態。払えなければ一緒ともいえるが。

この窮状は決算発表の遅延にも現れる。
5/15に決算発表予定(証取の決算期日後45日での発表の規定の遵守)→てまどってるから5/29に延期→間に合わないから6月上旬に延期
決算発表の遅延は飛びそうな会社のイメージを植えつける。

なぜか?決算の遅延理由はほぼ例外なく会計監査で監査人の了承が得られないからであり、監査人が了承しないのは決算内容に問題があるからである。
具体的に言えば粉飾まがいである。カネボウの事件以来、監査法人は信用に関わることを恐れて甘い見積もりに基づいた決算書にOKはそうそうださない。
大きい監査法人ならばなおさらである。
また、ゴンゾの場合には別の事態も想定される。「経理担当者が逃げ出してしまったのではないか?」
既に債務超過になることがわかりきっている会社で死にそうになりながら決算資料つくってろくな報酬もなければそれも当たり前である。
しかも粉飾まがいのことをやらされていたら身の危険を感じて逃げ出すことも想像される。

この種の疑惑を招くので決算発表の遅延は会社にとって致命傷になりかねない。

しかもゴンゾの場合、監査上でネックになる場所は常に同じで、棚卸資産とコンテンツの資産評価額である。
ゴンゾの決算が常に制作したアニメが全てマスター制作までは費用計上して資産計上するのはパッケージ代だけであれば、一度も利益計上できなかったかもしれないが後で減損問題を孕んだりしなかったのである。将来の収益を皮算用して資産計上して荒稼ぎしているように見せかけていた05年度決算までのツケが以降の年度で表面化しただけというのが本当のところだろう。05年度まではそれでもカレイドスターなど高いDVD価格を提示しても買ってくれる客層が存在したからそれでもなんとかなった。06年のアギト・ブレイブストーリーと金はかけた案件が劇場にかかった・収益はなかったのが「致命傷になりましたね」(CV:劉大人@むこうぶち)といったところ。
その後も経営を本気で立て直したければ、DVDの販売本数は少なくとも収益は稼ぐ手抜き作品の下請けオンリー作戦や市場に阿ってぱんつアニメばかり作ってぱんつアニメのゴンゾ!というブランドイメージでも打ち立てて販売攻勢をかければまだブランドとしての価値はあった。実際にやったのは販売元になったのはドルアーガでCMで「らめー」とかいっててこ入れする商法、売れたはずのストライクウィッチーズでは製作委員会に入っただけなので応分の配分しかえられない結果に。逆だろ。
さすがに今期はコンテンツの資産計上が難しい。今後の収益の見通しが立たない以上資産価値は無に等しいからともいえる。

で、ここで問題。この会社はここからどうやって立て直すことができるのか?
現在は借金≒債務超過額26億で、今後アニメだけの事業となると売上高は20億程度、収益は高収益事業に化けても1.5億ぐらいしか稼げない。
しかも今年は赤字の見込である。借金の返済可能性は無きに等しい。しかもフローで返済できないならストックで返済しようにも資産は既にあらかた売却してしまって後は不良債権よろしくコンテンツだけが残っている。金融機関はこの会社を潰そうと生かそうと貸し倒れ状態になっているのは確定的なのだ。
借金を減らして金利負担を減らせば立ち直るというのならば、DES(デッドエクイティスワップ=債務の株式化)や債務の減免(金融機関からみると債権放棄)が有効である。
しかしこの会社は現経営陣の元では会社を食い物にして終了することしか道がないように見える。
なんにせよゴンゾには上場廃止になろうが民事再生法を申請しようがアニメを作り続けて欲しいもの。