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明日というとこのぐらいあくんだな・・・

4.介護事業・医療事業の問題
老人が増えるのだから介護事業・医療事業が売り上げを伸ばすのは確実である。問題はその構造である。
鄯)医療
退職後の人々は、医療は自由診療を除いて国民健康保険に加入してその保険適用を受ける(無保険でなければ)。自己負担を除いた部分は保険料と税金で賄われる。
その構造上、年金生活者や失業者等の無職者の割合が半数以上、つまり保険料では全く足りておらず税金が投入される。
医療事業を拡大することは国の社会福祉事業費を増やすことに他ならない。それは賄えるのか?消費税増税だ!というような議論に戻るのである。
しかも医師の地域偏在・専門偏在・絶対数不足が叫ばれて久しく、将来的にはむしろ畳の上で死ねる幸せがプロパガンダとして追求されるようになる可能性すらある。
それには介護事業強化が必要だ

鄱)介護
介護事業の最大の問題は従事者の収入の少なさである。典型的なブルーカラー的職業とされてしまい、介護保険もひっ迫していることから見事に点数が下げられた。
会社の事業としてのピンはね以前の問題として低価格で抑えられているということが、この職業に若者がつくことは将来にかけてもワーキングプアになる覚悟が必要という結論に通じる。しかも若いうちはよいが、体に堪える職業である。40代以降は辛そうだ。
フィリピンやインドネシアから看護師を輸入しようとかいう話があったが、介護事業の方が専門的にもハードルが低く現実的に思える。
自分が介護を受けるならどちらがいいですか?といわれると日本人だと答えるだろうことを考えると、将来この事業では日本人による介護はブランド化して値段が割り増しされることになろう。
この輸入が行われるという点でも競争が働き、賃金が低価格化してしまう結果が想像される。

海外から低賃金で雇用される人々を連れてくるのは完全雇用になっている状態で考えればいいことのはずなのに、雇用のアンマッチは却って困窮化の道を提示してしまうようだ。

この二つの事業の拡大を骨子とする国家成長戦略は自分の足をいつ食べるか計画しているだけの戦略であるように思える。

5.円高デフレスパイラルからの脱出手段とデフレの既得権
日本がここまでデフレを続けてきたのは長期的にみれば人口増局面の終了による国内需要の減退である。
その過剰供給力から輸出依存への傾向拡大が今後も起こっていく。
韓国で輸出依存度が現在高いのと同じ状態になっていくのである。
いちばんよいのは経常収支が黒字である現状を打破して経常赤字にして通貨価値を下げていくことである。しかし輸入を増やすなんて需要がない以上成功するわけがないので、国際収支を赤字にする方向での均衡を目指すことにし、資本収支を大幅に赤字にする=海外事業を大量に買収して資金流出させるのがもっとも効率がよい。国際収支赤字になるぐらいの海外事業買収。他の策は無用である。放置していればしばらくして日本の長期金利は財政悪化が止まらないことを原因とした上昇が発生し、高インフレ率が常態化する。インフレによる賃金の上昇は勤労世帯にしかとどかないのでしばらくは年金生活者へのしわ寄せがいく。(年金はインフレ調整を行うことになっているが、現実には予算枠上増加が困難)
そして若年労働者の復権なしに人口減はとまらない。長期的視点でインフレの常態化と名目賃金上昇により円高水準が是正される。そんな世界でないと日本という国自体が生きにくい。
まーこのときのインフレが数%ですめばいいが、国債の利払いが困難になってきたらさらなるインフレで対応する気もする。どうなることやら。

この根底にあるのは世代間対立である。はっきり言えば、現在の労働人口に膨大な老人人口を支えさせるのが早晩難しくなることをさっさと提示しなかったことが現在の苦境を招いている。所得税や住民税、社会保険料の値上げはさらに少子化を加速する。老人を養う為に負担増となれば子供を育てる家計で子供を持つことがさらに困難になるのは明白である。
国家は国民を養うのでなく、セーフティーネットを用意するだけであることを表明すべきなのだ。選挙で負けるからとこの政策について絶対表明しないことが問題だったのである。
もっともインフレが現実のものになれば、収入が増加し得ない老人に自動的に負担がいくことになる。インフレが実際に起こるまで何もしないことは党利党略としては正しいかもしれないが、国家戦略としては零点である。それまでデフレが続くのだから。デフレは既に貯蓄をもつもの、景気に左右されず収入を得られるものに恩恵を及ぼし、ローン等の借金をする給与所得者にはきつい。所得が増えないので。
ローンの利率が低くて喜んで居る人たちは昔は利率以上に給料が上昇カーブを描いていたことを知らないから喜ぶのである。
デフレで痛みを感じる小遣いの増えないサラリーマンというのは現在発言力が非常に小さいカテゴリーなのだろう。