なぜ株価に変調ありとするか?

実際長期保有するなら合衆国市場からビッグスリーを淘汰し始めたトヨタ・ホンダ・日産を買えば問題ないし、鉄鋼株は自動車大手という優良需要家を持つ高炉4社を買えばよいし、金融は合理化がこれからも続くみずほと東京三菱を買えばよいし、電機はコスト競争に打ち勝った松下・キャノンを買えばよいし、おたく関連産業なら既存ソフトを大量に持つバンダイビジュアルを買えばよい。
問題は短期的な市場環境にあるのだ。日本の株式市場は今方向感を失っているが、24日(金)のように前日のNYダウで1%以上の株価下落を演出していたのに日経平均は▼39.72円とほぼ横這いだった。6月の半期決算のヘッジファンドがお化粧買いしているなどと説明した新聞もあったが本質的でない。合衆国でそれをしていないからだ。しかもドル高・金価格上昇・原油上昇・大豆価格上昇と、為替相場や商品取引に資金は向かっている。日本での下落幅が小さいのは株価利益率・配当収益率を好む個人投資家が少しでも下落すると買いを入れる状況からだ。彼らは小幅な値動きならそれで対応できるが、株価調整が本格化すると振り落とされる。個人の信用買いは追い証差し出しを求められれば決済を余儀なくされるし、現金で買っている個人投資家も有る程度は損切りするからだ。
しかも24日もNYダウは▼123.60ドルと1%下落した。合衆国ではITバブル崩壊後、景気浮揚のために利率下げを長期間行ったために住宅バブルを起こしてしまっている。プラザ合意後に低利率を維持した日本と同じ結末である。日本はバブルを潰すために徹底して金利を上げ、湾岸戦争増税し、地価税を導入までした。合衆国はそこまでしなくても目前の景気後退で下落すると思われるが、合衆国での資産価値下落は合衆国への投資を多く行っている日本企業に打撃を与えるのは必然である。

来週に続きます。