業種別今後の見通し

 水産・農林業
 水産が今後も投資妙味がある。
 去年極洋を買ってそこそこ稼いだが、水産はもはや国内産業でなくグローバル企業であり、OUT-INの輸入型でなくOUT-OUTの海外展開へ変化した。しかもBSE騒動以来水産物の消費は世界的に拡大傾向にあり、日本でもツナ缶の価格がじわりと上昇しつつある。最近は日水が上昇したが、基本的に極洋も日魯もマルハも収益構造は似通っており、変動要素は冷熱食品である。これは日水が強いためブランドイメージが高くなるのもまた当然だろう。
 私は出遅れ感のある極洋を290円近辺で購入して330円を目指すこととする。


 パルプ・紙
 北越製紙TOB問題で一躍脚光を浴びたが、根本的問題は寡占状態が未だ完成していないことにある。王子製紙日本製紙本社も一部の品種では寡占状態を作り出したが、家庭紙一つ取っても王子製紙ネピア)・日本製紙クリネックス・スコッティ)は大王製紙(エリエール)との競争を継続し続けているために値上げはなかなか成功しない。
 紙業界は逆価格差の最たる商品となっている。燃料代が上昇するなかそのコスト吸収ができなくなってきて今回も値上げ闘争を開始したが、生活必需品でさえトレードオフの関係にある製品への消費の移動や消費そのものの減退を生む現状では浸透は困難で、値上げを浸透させるにはかなり粘り強い価格交渉が必要となる。その状況下ではさらなる供給側の合併促進により値上げ交渉から脱落者を出さないことが肝要となる。つまり合併劇が成功して始めて投資対象と認められるのであり、現状の買収合戦の時点ではテクニカル以外に投資する妙味はない。重量・体積あたりの単価も低いことから輸出採算性もあまり高くないこの商品では国内での設備削減が浸透するまで過剰設備に悩み続けるのである。


 鉄鋼
 2008年の北京オリンピックの開催までは中国の旺盛な鉄鋼需要は波はあってもなくなることはない。
中国国内でもようやく生産効率の低い高炉を廃却するように動き出した。大躍進時代に無理やりの銑鉄生産量増加が如くの小規模高炉の乱立は百害あって一利なし。鉄鋼は価格下落したときでも採算性が取れることが肝要な装置産業であり、低品質の鉄しか作ることができない高炉は早めに退場させないと特に建設用棒鋼・H型鋼を中心に汎用品が暴落することとなる。価格下落は日本への輸出圧力へもつながるので電炉メーカーの採算悪化に直結する。
 一方で自動車や高級家電については国内における家電需要の堅調と海外への自動車輸出の堅調さから高級鋼材の需要は堅調なままとなっている。冷延鋼板・電磁鋼板が代表的でそもそも客先との直取引が多く汎用品ほど価格変動が激しくなく、また上流とされる素材産業の寡占化は国内では完了しているため価格交渉で優位にたっている状況に変化はない。この為、日本の高炉メーカーは需給バランスが大きく狂うような需要減少を招かない限り高収益を謳歌できるようになった。また、住友金属工業は得意とするシームレスパイプは原油価格・天然ガス価格の高騰で油田・ガス田の開発やパイプラインの新ルート建設で需要が急増し高収益を上げられるようになっている。数年前原油価格が低迷していた頃には考えられないことである。
 私自身は長年住金は保有しているが、昨年JFEも購入して中期的に保有することとしている。ただ、今年2月から新日鐵を購入したときには鉄鋼株の価格の上下に資産全体が揺さぶられるようになり安定性を欠いたため、利益確定を行って新日鐵株からは撤退した。その後さらに新日鐵株が上昇したことに対し、大いに後悔しているが。


気が向いたときにまた別の業種についても書きます。