JALの経営が悪化した理由を財務諸表から読む。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091207/211270/?P=1

説明に問題あり。

JALが2005年3月期から2009年度3月期に13,095億→8,015億と5,000億の有利子負債を削減したとあるが、うち1,000億は現預金の圧縮であり、1,400億は2007年頃の増資の結果である。(2006年の株主総会直後に発表して大問題になった記憶が)
実際に効いているのは固定資産の圧縮で航空機を中心に1,600億を削減している。航空機の固定資産の圧縮は1,400億のうち900億を占めており、所有機が187機→166機と21機減った効果とされている。また、売上債権も500億削減されており、その他にも流動資産を500億削減しているのが5,000億の主な内容となるだろう。

固定資産の削減には続きがある。
JALはリース契約で運用している航空機はリース資産として資産計上しているわけではない。
これを見てみると3,889億→2,806億と1,000億削減されている。リース資産の多くを占めている航空機いわゆるリース機は97機→113機と16機増である。
これはリース機について小型化を進めてきた結果であり、ジャンボ中心の運用からの改善が図られた示唆ではないかと考え詳細を確認した。
所有機では2005年3月期→2009年度3月期でボーイング747は20機退役しており代わりに777を10機増やすなどの新陳代謝を行いつつジャンボの削減を行っている。代わりに所有機・リース機ともにボーイング737を増やしており(合計で18機)、小回りが利くように保有機の見直しは実施していると言える。また、中型機のボーイング767も合計12機増加している。
JALの場合には有利子負債の削減というより長期借入金の返済・社債の返済を考えるとリースしか選択がないのかもしれない。というのもJALの場合には経営不安が囁かれて久しく、長期借入の格付けの低さがネックとなり長期借入を行って保有機を増やすと言う更新計画は組みづらい。リースであれば所有権はリース会社にあり、リース会社はリース料の支払が止まれば航空機を引き上げればよいのでリスクと言えば引き上げてから他の航空会社に貸すまでの時間のその機体をリースで貸し付ける際に借り入れた利子だけといえる。
同様に増資も難しい。今年ANAは増資を行った。ANAは保有機の更新を行う事で燃費の良い小型機割合を増やして効果をだそうとしている。

JALは減価償却費・リース料をANAと比較すると実はANAより少ないのではないか?とも思える。燃費の良い機体への更新が資金不足でやりにくいという事態に直面しているにかわりなさそうだ。

ちなみにANAは全日空ホテルを一括売却して特別利益を出したのが実にタイムリーな時期(2007年4月にモルガンスタンレーへ)であったので、それが直近での財務体質の安定化に寄与しているのはまた一つの事実である。

こちらの説明の方が内容として正しい。
ttp://aruconsultant.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-0ccb.html

なお、別にデータの出所がどうこういうまでもなく下記JALの有価証券報告書の公表データが元である。
ttp://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=1224274
ttp://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=756716